解決法① 次の活動がわかる

こんにちは!みてわか編集部です。

私たちは重度知的障がいをともなう自閉スペクトラム症の方の支援方法についてご提案しています。

もともとこのサイトをつくろうと思ったきっかけは、ある男の子(マル君)の支援経験があったからです。

マル君はDQ10~15くらい、最重度の知的障がいがあります。
その知的障がいの重さからスケジュールをするのは難しいと言われていました。

でもそれは違います。それはただの支援する側の知識不足
ご本人さんがみてわかるようにスケジュールを準備すれば必ずできます。

第3回では、よくある”スケジュール”では理解できない5つの理由についてお話しました。

今回は、理由①『写真やイラストでは次の活動が理解できない』の解決法①『次の活動を理解する』についてお話していきたいと思います。

 

実物は理解できる

これはご存じの方も多いと思います。

よくある”スケジュール”では理解できない5つの理由でもお話しした通り、マル君は写真やイラストでは何をすればいいのか理解できません。

でも、実物は理解できます。

 

たとえば、

食卓にごはんが並んでいるのをみれば、今からごはん食べるんだ!とわかります。

上着を着たり、靴を履けば、今から外に行くんだ!とわかります。

脱衣所からお風呂のドアをあけて湯舟をみれば、今からお風呂に入るんだ!とマル君にはわかります。

おそらく、このように実物をみれば、今から何をするのか活動が理解できる方は多いかと思います。

でも、湯舟や食卓、上着や靴をスケジュールに直接貼るのは難しいですよね。

ではスケジュールに貼れるくらい小さめの実物を探してみましょう。

 

マル君がわかる小さな実物をさがす

先ほど例にあげた、『ごはん』『外に行く』『お風呂』でそれぞれ探していきます。

ポイントは

その活動の時にマル君がいつも使っているものから探します

 

ごはん

ごはんは簡単です。たとえば、スプーンとフォーク。

いつもごはんを食べる時に使っているので、スプーンとフォークを見ればマル君はすぐにごはんが思い浮かびます。

他にも

  • 食器
  • ランチョンマット
  • おてふき

など、マル君がいつもごはんの時に使っているものが候補になります。

マル君の場合は、スプーンとフォークをスケジュールに使うことにしました。

 

外に行く

これは少し難しいです。
外に行くときに必ず使うものは季節によってかわったりします。

たとえば、

  • 靴下
  • 帽子
  • 上着

などがありますが、帽子は夏、上着は冬しか使いません。靴下は家でも履いたまま過ごすこともあるのでわかりにくいかもしれません。

もうひとつポイントは

ご家族や支援者が毎回外に持って行くということをマル君が知っているものから探します

たとえば、

  • リュックやバッグにつけているキーホルダー

などがあります。

 

ただ、マル君の場合は車の写真になりました。

「え!?写真は理解できないって言ってたのに!写真でいいの?!」と思いますよね。

すみません。そうなんです。

マル君は外に行くことが大好き。いつも車に乗って公園に行ったり、おでかけするので、自宅の車も大好きなんです。駐車場に車がたくさん並んでいても自分の家の車はすぐに判別できるくらい、車種の違いもわかっています。

これだけ好きだと、写真でもばっちり理解できるようです。

実物にこだわる必要はありません。本人がみてわかることが最優先です。

というわけでマル君は自宅の車の写真をスケジュールに使うことにしました。

 

お風呂

これはさらに難しいかもしれません。

たとえば

  • お風呂のおもちゃ
  • からだを洗うスポンジ

などもわかりやすいと思います。

ただマル君の場合は、いつもお風呂で遊ぶようなお気に入りのおもちゃがありませんでした。

スポンジもキャラクターのものを使っていましたが、そんなに好きというほどではありません。

強いていうなら、お風呂のお湯が好き。でもお湯ではスケジュールに貼れません。

 

このようにちょうどいい実物がない場合。困りますよね。

でもないなら実物を作ればいいのです。

 

実物を作る時のポイントは

①その活動でしか使わないようにできるものを選ぶ

②実物をみれば活動がわかるようになるまで練習する

③マル君の好きなものを選ぶ

です。

まず、①その活動でしか使わないようにできるものについて説明しますね。↓

たとえば、マル君にお風呂のおもちゃの水鉄砲をスケジュールに使うと決めたとします。

でも、同じ水鉄砲を、マル君が公園でも庭でも使うとしたらどうでしょう?

今探している実物は、スケジュールに貼ってあるとすぐに何の活動をするのかマル君が思い浮かぶような実物です。

でもお風呂でも公園でも庭でも同じ水鉄砲を使っていた場合、マル君が水鉄砲を見た時に、お風呂だけが思い浮かぶでしょうか?

たぶん、水鉄砲=お風呂 とはならなくなってしまいますよね。
もしかしたら水鉄砲をみたら公園に行けると思ってしまうかもしれません。

だから、お風呂ならお風呂でしか使わないような実物にする必要があるのです。

マル君の場合は、ウレタンでできている型はめパズルにしました。

マル君は型はめパズルのピタッとはまる感覚が大好きです。

 

そして実物を決めたあとは②実物をみれば活動がわかるようになるまで練習するです。↓

用意した型はめパズルを毎日見せてから脱衣所まで移動し、服を脱いだ後に型はめパズルをしてすぐお風呂に入るようにしました。

これを毎日繰り返していると型はめパズルをするとお風呂に入るんだな。とマル君はわかってきます。

練習を続けていると、型はめパズルの1ピースを見せるだけでマル君が自分から脱衣所に向かうようになりました。

これで活動がわかる小さな実物の完成です!

 

この実物をつくる時に一番大切なことは、③マル君の好きなものを選ぶです。↓

実物をマル君がまったく興味ない物にしてしまうと、いくら練習してもできなかったり、理解するまで時間がかかったり、マル君自身も嫌になってしまったりします。

だから、実物をつくるときはなるべくマル君が好きなもの、興味のある物を選ぶようにします。

 

まとめ

こうして次の活動が何なのかマル君がわかるような実物がそろってきました。

この実物を順番に並べれば、スケジュールになっていきそうですよね。

でも並べ方やスケジュールの形にもいろいろな方法があります。

次は、今回お話しした”次の活動がわかる実物”をどう並べてスケジュールの形にしていくのか、解決法② スケジュールの形をつくるについてお話していきます。

 

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