よくある”スケジュール”では理解できない5つの理由

こんにちは!みてわか編集部です。

私たちは重度知的障がいをともなう自閉スペクトラム症の方の支援方法についてご提案しています。

もともとこのサイトをつくろうと思ったきっかけは、ある男の子(マル君)の支援経験があったからです。

マル君はDQ10~15くらい、最重度の知的障がいがあります。
その知的障がいの重さからスケジュールをするのは難しいと言われていました。

でもそれは違います。それはただの支援する側の知識不足
ご本人さんがみてわかるようにスケジュールを準備すれば必ずできます。

第2回では、誰でもスケジュールが必要なはずについてお話しました。

今回は、『よくある”スケジュール”では理解できない5つの理由』についてお話していきたいと思います。

 

 

自閉症支援でよくあるスケジュール

自閉症支援の本や療育園などでよく見かける、いわゆる『スケジュール』はこのような感じではないでしょうか?

 

ラミネートカードに写真またはイラストと字が書いてあって、1つ活動が終わったらカードをおしまいボックスにしまう、という流れですよね。

 

 

このスケジュールは、知的障がいが軽めな方なら理解できるのではないかと思います。
実際に使いこなしている方がいらっしゃいます。

でも、重度の知的障がいがあるとなかなか理解するのは難しいのではないでしょうか。
実際に、最重度の知的障がいがあるマル君にはまったく理解できませんでした。

このスケジュールでは理解できない代表的な理由を5つ、マル君を例にお話ししていきますね。

 

キーワード

活動=ごはん・はじまりの会・お風呂などスケジュールの1つ1つを活動と呼びます。

スケジュールカード=1つ1つの活動を示したカードをスケジュールカードと呼びます。

 

理由① 写真やイラストでは次の活動が理解できない

まず、マル君にとってイラストはまったく意味不明です。

イラスト=ただの紙に線が引いてあるもの

たとえば、ごはんや食器、スプーンフォークのイラストを見ても、食事とは結び付きません。

 

写真も見る様子はあるものの、写真と実際の活動は結び付きません。

たとえば、お風呂の写真を見ても自分がお風呂に入ることとは別物に感じるようです。

つまり、スケジュールカードを見ても、活動が理解できません。

 

理由② スケジュールであることがわからない

私たちはこの写真をみて、これはスケジュールだとわかりますよね。

そして、たぶん上から順番に取り組んでいくのだろうと予測できますよね。

でも、これを見たマル君にはどのように見えているとおもいますか?

マル君にとっては、『なんだかわからない線(文字)と時々見たことのある写真がなんかたくさん貼ってあるな』というだけかもしれません。

つまり、これが今から取り組むスケジュールであることが理解できません。

 

また、スケジュールであることがわかったとしても、園・学校や事業所で他の方のスケジュールもたくさんある環境では、どれが自分のスケジュールなのかパッと見てはわかりません。

よくスケジュールに顔写真や好きなキャラクターを貼って誰のものかわかるよう工夫されていますが、マル君にとっては『なんか顔写真が貼ってあるな』というだけかもしれません。似たような形をしたスケジュールの中から毎回写真に注目して自分のものだと理解するのは簡単ではありません。

 

理由③ 活動場所まで移動できない

仮にスケジュールカードの写真が理解できたとします。

たとえば、マル君がスケジュールでお風呂の写真をみて、お風呂に入ることが理解できたとします。(実際はマル君にはできません)

そのあと、お風呂まで移動してお風呂に入るのですが、

お風呂に移動しようとスケジュールから離れると、もうマル君は何をするのか忘れてしまいます。

もしくは他に気が散ってしまいます。

活動を忘れてしまうと、移動中に突然おもちゃをとりに行ってしまったり。

気が散ると、移動する途中で見つけたリモコンをいじり始めたり。

スケジュールをみて活動場所まで移動するには、『次の活動を覚えておく』というスキルが必要なのです。

『覚えておく』は目に見えないことなのでなかなか難しいのです。

 

理由④ 活動が終わってもスケジュールに戻れない

『お風呂』のあとに『歯をみがく』のスケジュールをたてたとします。

お風呂からあがった後に、スケジュールに戻って次の活動を確認して、歯みがきをしてほしいところです。

これがマル君には難しいです。

まずマル君はスケジュールを確認しにいきたいなんてまったく思いません。

『活動が終わったらスケジュールを確認する』という目に見えないルールは理解できません。

 

となると、支援者さんや親御さんは手を引いたり、わきを抱えたりしてスケジュールの前までご本人さんを無理に連れて行っていませんか?

訳もわからず毎回スケジュールの前まで連れて行かれるマル君。
このままではきっとスケジュールのことが嫌いになってしまいます。

 

理由⑤ おしまいが理解できない

スケジュールを確認しに戻ってこられたとします。

お風呂の活動が終わったので、スケジュールに貼ってある『お風呂』のスケジュールカードをはがしておしまいボックスにいれる。

すると、一番上にあるスケジュールカードが次の活動の『歯みがき』になる。

 

でもマル君は『スケジュールカードをおしまいボックスにしまう』ということが『おしまい』という意味だと理解できません。

スケジュールに貼ってあるカードを全部まとめておしまいボックスに入れてしまったりします。

『たくさん貼ってあるカードの中で一番上のカード1つだけをボックスにしまう』というルール。これも目に見えないルールなので、マル君にはとってもわかりにくいです。

 

まとめ

5つの理由。思い当たるものもありましたか?

私たちが準備するスケジュールには実は目に見えないルールがあるのです。

この見えないルールによって、マル君がスケジュールをするのが難しくなっています。

でも大丈夫。見えないルールを見える化すればいいだけです。

実際にはマル君にできていることはたくさんあります。できることをスケジュールに組み込んでいけばマル君にもスケジュールはできます。

次の記事からは、5つの理由の解決方法を1つずつお話ししていきたいと思います。

まずは、解決法① 次の活動がわかるです。

 

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